七歳の記憶
生まれ付きの視力が０，０１程度だった僕は、星空をみた記憶がない。
目医者さんの帰り道は、いつも母親に手を引かれて、カバヤのチョコレートを食べながら歩いていた。
大通りから裏通りへ入って行くと、まぶしいヘッドライトにじゃまされずに、夜空を見上げることができた。
僕は、サングラス越しにお月さまをさがした。一瞬見えたような気がした。
今、意識を集中して思い出せる月の色は白い。
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