聞きながら書くエッセイ


	聞きながら書くエッセイ

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聞きながら書くエッセイ

　ぼくは、点字で文字を読み書きして育ってきました。
漢字かな交じりの文章を見た記憶がありません。
そんなぼくが、10年ほど前から、人になにかを伝えたいと思って書き始めたのです。
最初は点字で書いたものを読み上げて代筆してもらいながら文章を完成させていました。しかし、どんな漢字を使ったらいいのかと聞かれてもさっぱり分からず困ることが度々でした。
ちょうどその頃、スクリーンリーダーを使った音声パソコンが世の中に登場しました。これなら独力で文章が書けると思って飛びついたのですが、漢字の使い方を知らないぼくにはなかなか大変なことでした。

　ぼくの場合、パソコンで書くといっても、元々漢字のかたちを知らないので、文字が頭に浮かんでいるわけではないのです。
パソコンからフィードバックされる音声を頼りにキーボードを叩いています。
だからぼくの文章は、聞きながら書いているということになります。少し書き進めては、数行を聞き直して文章を練り上げていきます。
そのうち、このような書き方が文体にも現れて、人とは違うフレーズが書ければいいのですが。